ニイハオ中国(つばめ)

戸田ゼミコラムのアーカイブです。このコラムはすでに連載を終了されています。

西葫芦の軟餅事件の夜、帰ってきた夫に、
義父とのあれこれを報告。

「前日の夜に、あれほどはっきり
 西葫芦の軟餅にしましょうって、
 理由も話して義父も納得したはずなのに、
 翌日には、前日言ったことを
 まるで聞いてなかったかのように、
 自分一人でシラッと餃子をゆでて食べてるっていうのが
 ほんと腹立つ!話した意味が全くないじゃない!
 まったくお義父さんは一体、何を考えてるのかしら」

とつばめ。夫は、

「親父は、子供を抱えたつばめに
 料理を作ってもらって食べるというのが、
 自分が全く廃人になったように感じるんじゃないかな」

という。
つばめには晴天の霹靂。

「えーっ?まさかそんなこと!」

日本だと祖父母世代で料理を全くしない
おじいちゃんなんて山ほどいるし、
そういう人たちが、料理を作ってもらっている自分を
ダメ人間だと思っているなんてこと、
全くないと思うけど。。。
しかしうちの義父はどうも、
変なところにプライドがあるようで、
どうしてもそういう風に感じてしまうようなのである。

いや、義母が作ってた時は、
全く手伝わずに出来たてを一番先に食べるのみならず、
量が多すぎだの少なすぎだの、味がどうだのと
あれこれ文句までつけていたのだから、
外国人の、ろくに料理もできないつばめに
自分が作ってもらうしかないというところが、
義父にとってどうしても引っかかるのかもしれない。

「ワシのほうが、外国人のつばめなんかより
 中華料理のことは分かっとる。
 お前なんかに食べさせてもらわなくても、
 ワシは自分の分ぐらい、自分で何とでもできるわい!」

そう、義父は言いたいのかもしれない。
確かにここ数日の義父の態度は、
そう言われればそう見えなくもない。
そっか、だからここ数日、いくら事前に話してても、
勝手に一人で食べていたのかぁ。。。

つばめがメニューを決めるのに従うというのも
しゃくに触るけど、自分では何にも思いつかない。
自分で西葫芦のチヂミを作れるところを見せたいけど、
自分では作り方が分からず、
ろくに料理もできないつばめに頼るしかない。
結果、ああいう態度に出るしかなかったのだろう。

「それに、前日の晩から、翌日の昼のことを聞かれるのも、
 親父にとってプレッシャーなんじゃないかな。」

と夫。
それもそうかも、と思ったつばめ、
翌日から、その日の10時に1階に電話して、
義父と昼食のことを相談することにした。


つづく。

さて、義父との昼食2日目、
約束の時間に1階に下りてみると・・・、

義父、ソファーに座りながら
チラッとこちらを見て、

「ワシはもう、昨日の残りの麺を食べたから」

と一言言い残し、そのままバタンとドアを閉め
奥へ引っこんでしまった。

昨日、白ご飯と夜の残り物を食べると
言っていたあの話は、なんだったのか。
義父と食卓を囲むために
わざわざ1階に下りてきたつばめ達は、
シーンと静まり返ったリビングに取り残され、
ひっそりと残り物を食べたのであった。

このことにかなり頭に来ていたつばめであったが、
これに懲りずに夜、
翌日の昼は軟餅(中華風チヂミのようなもの)と
お好み焼きにしましょうか、と提案。
軟餅なら、親戚のおばあさんの作るのを見て
作り方も分かるし、
キャベツと西葫芦(ヘチマに似た野菜)が余っているので
それを使い切るために、と説明もし、
義父もわかった、と同意。

ところが、翌日の昼1階に下りてみると、
義父、またもや先に、
冷凍餃子をゆでで食べていたのである。
これにカチンときたつばめ、思わず、

「お義父さん、昨日一緒に軟餅を作って食べましょう、
という話だったのに、なぜ別の物を食べているのですか。
家族揃って食事することが大切っていうことで、
私たちはわざわざ約束した時間に1階に下りてきているのに、
お義父さんだけ先に食べて、
家族団欒の雰囲気なんてひとかけらもないじゃないですか。
それは、私達に、勝手に食べろってことですか。
もう1階に下りてくるな、ってことですか。」

と詰め寄った。

「そこまでの意味はないけど・・・」

と言葉を濁す義父。

「じゃあ、1階で食べることは食べるけど、
お互いに、別々に好きな物を作って
食べるってことですか。
じゃあ私も、明日から好きな物を作って食べますから」

と宣告。
そして、つばめと2歳の下の子二人でお好み焼きと
西葫芦の軟餅を食べ、1枚分の種を残しておき、

「お義父さんの分まで作ってしまったので、
そのまま置いておいても仕方ないし、
よかったら自分で焼いて食べてください」

と言うと、ちょっとは反省したのか、
余った種を自分で焼いて食べた義父。
しかし、そういった反友好的な態度は
まだしばらく続いたのだった。

つづく。

はじめて義父とジャージャー麺の昼食を
食べた日の夜のこと。

夜は、夫が帰宅してから炒め物をするので、
材料を準備して切るものは切っておいてほしいと
言い残して出社した。

地方に滞在していたつばめ達にまだ子供がいなかった頃、
いつもつばめは料理の下準備役で、
夫が炒め役だった。
つばめが作った炒め物は全然中華じゃないと夫は言い、
私に炒めさせてくれなかったのである。
かくして買い出しと野菜を洗って切るのが
つばめの役目となり(プラス後片付け)、
炒めるのは夫の係りとなった。

そんな10年前を思い出し、

「晩ご飯の野菜とか、私切っておきましょうか」

と言うと、義父、

「夕食はワシら(つまり義父と夫)が全部やるから、
 君は関わらなくていい」

との答え。
それでもちょっと心配で、
夫の帰宅時間の少し前に1階に下りて、

「材料準備できました~?」

と言いながら台所に入っていくと、
全く何にも準備されていない。

「準備っていったって、
 どの野菜を使うつもりなのか分からないし、
 どのぐらいの野菜を洗って切ればいいかも
 分からないだろ。だからあいつが帰って来てからしか
 準備なんてできないじゃないか」

と義父。
ええーっ、何の野菜を準備すればいいか分からない?
どのぐらいを洗って切ればいいかも分からない?
つまり、義父はあれだけ
「ワシに任せとけ」的なことを言っておきながら、
誰かに指示してもらわないと、
なーんにも決めることができないのだ。

夫が帰宅してから、献立を考え、使う野菜を決め、
それから洗って、切って、作っていたら、
一体いつ晩ご飯にありつけるか分からない。
そう思ったつばめは、

「野菜なんて、うちにあるものを見て、
 お義父さんが自分で食べたい物を
 切っておいたらいいんですよ。
 どれだけ洗ったらいいかなんて、
 ひと皿に乗るぐらい準備したらいいだけですよ」

と言いながら、
その辺にあった野菜を洗って切っておいた。

ところが、このことが
義父の自尊心を大きく傷つけたらしく、
義父はとたんにムスッと不機嫌になった。

夕食後、

「明日の昼は、余った白飯を
 チャーハンにでもします?」

と聞くと義父、どうでもいいというように、

「白飯のまま食べたらいいだろ」

との答え。ま、今晩の残りもあるし、それでもいいか、
と思いながら、そのまま6階に上がった。

さて翌日の昼、約束の11時半に1階に下りてみると・・・


つづく。

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