義母が亡くなって数週間は親戚(義母の妹)が残って
食事を作ったりしてくれていたのだが、
その親戚もあと数日で田舎に帰ることになった時、
つばめは思い切って口を開いた。

「お義父さん、これからお昼ご飯はどうしたいか、
 考えといてくださいね。私達と一緒に取るのか、
 それとも別々のほうがお義父さんはいいですか。
 私はどちらでもいいので、お義父さんが決めてください」

義父は即答せずに考えている様子。
何日たってもお義父さんからの返事がないのに焦れたつばめ、

「私たちは上で日本食作って食べるのは全然問題ないのですが、
 お義父さんはやっぱり家族で揃って食べたいですかねー。
 もしお義父さんが、夜だけ家族揃って食べたらそれで十分、
 と思われるようなら、昼は私たちは6階で食べますし、
 やはり昼も一緒に、ということなら、
 私はそれにも異存はないです」

と、かなり踏み込んだ言い方をした。
今思うと、こんな言い方をされたら
よほど義父は、それでも一緒に、
とは言いにくかっただろうと思う。
言った後、ちょっとストレートすぎたかと思ったつばめ、

「まぁ、何を食べるかは別として、家族団欒することが
 大切ですかねぇ」

とフォローの言葉をつなぐと、義父、

「そうそう!」

とすかさず相打ち。
どうやら義父は、私達と一緒に昼食を取りたいと
思っているようだということが分かった。

翌日、義父の出した答えは、

「1階で一緒に食べるほうがいいだろう。
 君も子供がいるのに、ご飯なんて作れないだろうし」

というものだった。

「いえ!昼食ぐらい作れます。
 お義父さんのほうが心配なだけで」

と思わず言いそうになったが、
すんでのところで口をつぐんだ。

「ワシとつばめ、どっちが先に食事を上手に
 作れるようになるか、競争しようじゃないか」

と義父豪語。

「どうやって競争するんですか、
 今日は私、明日はお義父さん、っていうふうに
 交代で昼食を作るんですか」

と聞いてみると、

「いや、そんなことはできない」

と義父。
結局、自分一人で食事の支度ができる、
と言いたい気持ちはあるが、
自信がないのだろう。

後で夫に、

「私は6階で昼食を作って食べるのは全然問題ないと、
 お義父さんに何度も言ったのだけど、
 お義父さん、全然信じてくれなくて。
 君達がきっと大変だから、って
 1階で一緒に食べることにしようって言うのだけど、
 お義父さんのほんとの意図はどうなのかな。
 私達が心配ゆえに1階で、って言ってくれてるのなら、
 そういう心配は本当に不要なんだけど。。。」

と夫に聞いてみると、

「親父は本当に君達のことが心配なんだと思うよ」

と夫。

「私はお義父さんが心配で、ほんとは6階で食べたいけど
 1階で食べようと思ってて、
 お義父さんも、ほんとは一人で食べたいけど、
 私達が心配で一緒に食べようと言ってくれてるってこと?
 そんなことならほんと、別にしたほうがいいよね!」

と言ってみたが、夫、無言。
結局、そのまま、親戚が去った翌日から、
義父とともに1階で昼食を取ることになった。


つづく。