ニイハオ中国(つばめ)

戸田ゼミコラムのアーカイブです。このコラムはすでに連載を終了されています。

カテゴリ: 400回〜

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一昨日、新聞に
北京の道端で子供をさらって売り飛ばした
犯人グループ7人が捕まったニュースが
出ていました。

北京の海淀区で、2歳の男の子が遊んでいるところへ
黒いコートを着た男が近づき、
コートで子供をサッとくるんで脇に抱え、
待機していた仲間の三輪バイクに乗って逃走。
その子は仲介人を通して、3.8万元で
60過ぎの老夫婦に売られたそうです。

さらわれた男の子の母親は、
ほど近くの美容院で髪をカット中、
子供を見ているはずの父親は、
道向かいの商店の中でマージャン見学に
夢中になっているうちに
子供がさらわれたそうです。

義母には、

「この記事見た?だからね、
 外出した時は、いっときも子供から目を離しちゃダメ!
 よそ見したり、他のことをしちゃダメだよ。」

と何度も念を押されました。
ふたり目ちゃんが生まれてから、
子供を二人連れて外に出ようとしたら、
義父母に強烈に反対されたのですが、
(一人ならいいけど、二人なんて見切れないからダメ!)
まあ、こんな事件が身近で起こるのですから、
義父母の心配もあながち杞憂とは言えません。

義妹によると、
天津のあるスーパーで母親が連れていた子供を見失い、
警備員がスーパーの全ての出入り口を封鎖して
いなくなった子供を捜したところ、
子供はあっという間に髪を刈られ、服を着替えさせられ、
元と全く違う格好で見つかったのだそう。
だから、「こんな髪型で、こんな服で・・・」
と言ってモタモタ子供を捜していたら、
その間に子取りに連れ去られていただろうとのこと。
子さらいのプロはすごいんですね。

またこれも義妹から聞いた話ですが、
中国の孤児院に欧米人の夫婦が訪れ、
子供を20万元ぐらいで購入していくのだそう。
だから、孤児院が仲介人から
あちこちでさらわれた子供を買って、
外国人の夫婦に何倍もの値段で販売する
人身売買の巣窟になっているという噂が絶えないとか。

中国で子さらいや人身売買があることは知ってはいましたが、
自分の住んでいる町でそんな事件が起こると、
ほんとボーッとしてたらいけないな、
気をつけないといけないな、と
思ったことでした。

P.S.ちなみに、女の子より男の子のほうが
  さらわれやすいそうです。

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↑こんな人です。

いえ、この女性じゃありません(笑)。
この女性の手を取っている男性、
この人が新アメリカ駐中国大使、駱家輝さんです。

この史上初の華僑のアメリカ大使は
中国に到着後まもなく、
妻の手を引き、三人の子供を携えて
記者会見の場に姿を見せました。

この見た目も中国人で、中国語を話す人が
アメリカ大使だなんて、なんだかちょっと意外ですね。
中国では、この新大使の着任を歓迎する声もある一方、

「見た目は中国人と同じでも、心はアメリカ人、
 油断するな」

という声もあるようです。
・・・とはいえ、やっぱり見た目って
思っている以上に、人に与える印象に影響します。
多くの中国人は、この面立ちを見、中国語を聞くと、
自然に親近感が湧いてしまうことでしょう。
それだけでアメリカへの印象が変わり、
アメリカが近く感じられるのです。

中国にルーツを持つ駱家輝さんは、
中国人の考え方や文化習慣にも理解があるだろうし、
アメリカ人であるから、もちろんアメリカの文化にも
通じているはずです。

交渉事はまず相手をよく理解し、
そしてこちらの価値観も噛み砕いて相手に伝えられる、
ということが大切だと思います。
そういうこともあって、
アメリカは華僑である駱家輝さんを
中国大使に任命したのでしょう。

この新アメリカ大使の着任により、
中美関係はより緊密な関係を築けるのか、
今後も注目したいと思います。

今回の高速列車事故について、
国民性もあるかもしれませんが、
それよりも国の体制、腐敗、組織のあり方に
問題があるのでは?とご指摘くださった方は
中国企業で働かれているそうで、
組織のあり方の違いについて、

「私は中国企業で働いていますが、
 ここでは品質を重視した細かい仕事を
 慎重に進めても何一つ評価されません。
 スピード、量、壮大な計画(無謀とも言う)が全てです。
 組織は完全なトップダウン式で、
 現場の事は何一つ知らず実務能力の全くない
 上層部の決定ですべてが決まります。
 皆実務を軽視し、少しでも早く管理職に出世し、
 下を搾取することだけを考えています。」

とおっしゃっています。
もしこの方のおっしゃるとおり、
細かくきっちり仕事をしても評価されないのであれば、
だれもそんなことをわざわざしないで、
見栄えだけよくして、言われたことを
サッサと済ますだけではないでしょうか。
何しろ、スピードは評価されるのです。
上から言われたことにすぐ反応して、
見栄えよくできたようにみせればよいのです。
そして、組織は完全なトップダウン式、
上司が黒を白と言っても従うしかありません。
そしてそんな上司にとりいって気に入ってもらえれば、
自分も出世の道が開けるのです。
こうして実務を知らない上司の壮大な計画をほめちぎり、
おべっかとつけ届けが実務能力より重要になります。
なにしろ、トップダウンということは、
実権を握れば自分の天下です。
だから権力の座につきさえすれば、
賄賂などの副収入(むしろこっちが主収入?)
には事欠きません。

トップダウン式は意思決定が早いという長所がありますが、
その長所が長所でありうるには、
トップが賢明でなければなりません。
うまくいけば賢明なトップが
強力なリーダーシップでみんなを引っ張って行って
よい結果を生むことができるのでしょうが、
トップダウンが裏目に出て、
みんなが適当な仕事をし、上に取り入ることばかり
考えていれば、事故が起こってもさもありなんでしょう。

中国は、国家体制が共産党一党独裁であり、
市井の意見を吸い上げることはあっても、
基本的には強烈なトップダウン式。

「高速鉄道を作ると国が決定したから、
 あなたの住んでいるところは立ち退いてください」

と言われたら、国の決定には基本的に従わざるを得ません。
上の決定に意見を挟む余地はないのです。

中国人って、上が決めたことに逆らったり、
もっといいやり方があるのに、とか、
あんまり考えないようだなぁ、
と感じて、夫に聞いたことがありますが、
夫いわく、

「そんなことしても無駄。
 それよりも決まったことにどう対処するか
 考えるほうが自分のため」

だそうです。上の決定に無抵抗に従う癖が
ついているのだと思います。
相談できる余地自体がないので
みんなでよりよい案を考える、とか
上に提案する、とかいう考えはないのです。

夫によると、

「中国は人口が多いから、多数決とか、
 みんなで話し合って、とか言っていたら、
 いつまでも物事が進まない」

のだそうです。
それもそうかもしれませんが、
では、トップダウン式の中国の組織が、
今後同様の事故を起こさないために
どういう措置を取っていくのか、
それに注目したいと思います。

先日、中国の列車事故の話から、
中国人の国民性に触れ、
今回の事故は、そういうまぁまぁ主義の
中国人の気質が起こした事故ともいえるかもしれないと
書きましたが、それを読んだある方から、

「国民性もあるかもしれませんが、
 それよりも国の体制、腐敗、組織のあり方に
 問題があるのでは?」

とのご指摘をいただきました。
その方は、国民と政府との関係が根本的に違う、
中国の政府は国民を虫けらのように扱っても
選挙で落選する心配もなく、政府の責任を訴える
裁判など起こされない(起こされたとしても絶対政府は負けない)、
共産党一党独裁体制であることが
事故やまたその後の対応の違いとなって
出ていると見ているようで、確かにその通りかもしれない
と思いました。

今回の事故の報道を見て、中国も変わってきたんだなぁ、
一般市民が政府の責任を追及できるようになってきたんだなぁ、
と思っていたのですが、それは政府自らが
事件をもみ消したりすることが
逆に中国の発展を阻害すると考えるようになったからではなく、
外的要因によって政府も変わらざるを得なくなってきた、
今までのような国民を虫けらのように扱うような対応や
事件をもみ消して終わりという対応では
やりすごせなくなってきているということだと思います。

最近、故宮にある一級文物が、扱いを間違って
破損したのにそれを関連部署に報告せずに
隠しているとネット上で話題になり、
調査が入って、故宮博物館もその事実を
認めざるをえなくなったり、
ケンタッキーの食品安全について、
内部事情を知る人が内部告発のような形で
ネットで情報を流したことでそれが大きな事件となり、
ケンタッキーが企業として正式にそれに対しての
コメントをしたり、ということが頻繁に起きています。

先にネットで取り沙汰されることで
問題が広く知られて社会問題になり、
新聞やニュースでも
取り上げられる大きな事件になっていくのです。

インターネットというのは、
事件が起きたら、数億ものネット市民の間に
瞬時にその情報が流れます。
だから政府が都合の悪いことを隠そうとしても、
すでに情報はネット市民の間に流れた後で、
もみ消そうにも消せず、
無理やりもみ消したら、今度はネットで
それが取り沙汰されます。
国民一人が何か物言っても政府は口をふさげますが、
数億ものネット市民の声は、政府も無視できないのです。
下手な対応をすると、国民の信用を失い、
共産党一党独裁政権の座がゆらぎます。

ネット市民もそれを心得ているからこそ、
ネットで真実を世に問うのではないでしょうか。
自分の後ろにはみんながいる、
自分の意見が正当で多くのネット市民の支持が
得られるようであれば、それは大きな力となり、
政府を動かすこともできるのです。
ネットの匿名性も大きく関係しているでしょう。
名前を名乗ってから言えと言われたら、
怖くて本当のことを言えないけど、
匿名だからこそ言えるということもあります。
ま、逆に匿名だからデタラメな情報を
好き放題流すこともできる、とも言えますが、
真実というのはやはり説得力があり、
多くの人の心を動かします。
中国の正義はネットから始まりつつある、
といっても過言ではないのではないでしょうか。

今回の列車事故は、国民の命を虫けらとも思わない
中国の古い組織のあり方や腐敗が起こした事故とも
言えるかもしれませんが、
そういう中国も変わらざるをえないところまできているんだなぁ、
と感じているつばめです。

前回、日本人の気質は「完璧主義」、
中国人は「まぁまぁ主義」と書きましたが、
では、そういう「まぁまぁ主義」の中国人が、
世界を驚かせる高品質の高速列車を製造し、
輸出することなどできるのでしょうか。

可能性はあります。

まぁまぁ主義の中国人を完璧に向かわせるのは、
「損得勘定」。
高品質の高速列車を製造して輸出すれば、
どれだけの利益がもたらされるか。
その利益を得るためには、
まぁまぁ主義は捨てて、完璧を目指さなければなりません。
利益が目の前に見えていれば、
俄然やる気が出るのが中国人だと思います。
利益と関係ないことに一生懸命にはなれないけど、
それをやることによって得られるものが
はっきりしていれば、頑張れるのです。
日本人は「完璧でないと気持ちが悪い」という
感情によって動きますが、中国人は利益や損得によって動く
非常に合理的な国民だとつばめは感じています。

考えてみれば、中国人の気質のほうが分かりやすく、
何の得もないのに完璧を目指して頑張ってしまう
日本人の気質や美意識のほうが
むしろ不思議だなあと思うつばめです。

そしてもうひとつ、中国人を動かすものは「メンツ」。
メンツがかかっていることには、
損得関係なく大枚はたいてでも一生懸命になります。

それで北京オリンピックも成功させたし、
月探査機の打ち上げや有人宇宙飛行も成功させました。
中国人だって、完璧を目指して
非常に緻密な仕事ができるのです。
いったんやる気に火がつけば、
ものすごく団結力を発揮して優秀な仕事をするのもまた、
中国人なのです。

だから、中国人がなまけもので
適当な仕事しかできないというのは
あたっていないかもしれません。
時と場合によるのです。

高速鉄道の開発は、
中国人を動かす「損得勘定」と「メンツ」の
両方がからんでいます。
今回の事故で中国の高速鉄道の名は
地に落ちましたが、中国のメンツにかけて、
そして輸出による巨大な利益を得るためにも、
幾多の困難にもめげずに、執念で
すばらしい高速列車を開発するかもしれません。

一般市民のつばめとしてはとにかく、
安全な鉄道運行がなされることを祈るだけです。

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